(引戸をひいて風呂場に入ると、女性の居ない煉獄家には似つかわしくない、新品であろう薄桃色の石鹸と、複数の手拭い、蜜柑色から桃色の階調が美しい組紐が置かれていた。

薄桃色の石鹸を手に取ると、優しい菖蒲の香りがする。

閉めた扉の向こう、去っていく足音にはっと顔を上げる。これは…もしかして煉獄さんが用意してくれたんだろうか…)
ゆっくり入っておいで