名前:姫宮ゆい子

常連のお客様44人

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申し訳ございませんお客様!



「おいおいおいおい! 注文間違えといてそんだけで済まそうなんざムシがよすぎんだろ! 大体、カニチャー頼んだのにエビチャー持ってくるとかありえねぇんですケド!?」



はい、弁解の余地もございません。ただ今注文の取り直しを……



「そんなんじゃなくてよ~、こう土下座するとか! パンツとか乳見せるとかあるだろ!? 女なんだからよォ、カラダと誠意は見せ得って習わなかったのかね?」



ご不快な思いをさせてしまったことはお詫びする他ございませんが、そう言ったご要望は致しかねます。



あ、ちょっと〇〇さん!? ま、待ってください、大丈夫ですから! 慣れてますから!
ここは私に任せて……はい、ステイですよステイ。座っててください!



「おいおい、さっきから聞いてりゃよォ! 何だこのネクラヤロー! ゆい子ちゃんにイチャモンつけやがってよー!」



「ゆい子ちゃんがこの4年間どんだけ忙しい時でもオーダーミスしたことねぇの知らねぇのかよ! お前とは頭の出来が違うんだ!」



「な、何だキサマら!?」



「俺らも何度も聞いてたもんな! きっちり海老炒飯って確認取ってたぜ! あり得ねえんだよ、ゆい子ちゃんが間違えるなんて!」



「大方仕事で失敗して上司にケツ叩かれた鬱憤をクソクレームで晴らそうとしたんだろ? うだつの上がらねぇツラ引っ提げた陰キャが考えそうなことだぜ!」



ああもう! 皆さんも落ち着いてください、喧嘩は駄目ですからっ! あ、お騒がせして申し訳ございませんでした!



「クソがァ! 何なんだコイツらは!? 不細工な男ども侍らせてオタサーの姫気取りかよクソブスが! 気分悪ィ、帰るわ!」



えっ? よ、宜しいのですか? ご注文の取り直しは……



「もう帰るっつってんだろ! さっさと会計しろブス!」



畏まりました! ただ今伝票を出しますので……はい、こちらでございます。

今一度ご確認致しますが、そのままお会計で宜しいのですか?



「そう言ってんだろーが! こんな店1分だって居たくないわ!」



畏まりました。それではお会計の方がお通し500円、生大750円、鶏唐440円、海老炒飯が780円で合計2,470円です。



「お、オイ待てやコラ! 何で食ってねえエビチャーが入ってんだよ!? おかしいだろ!」



えっと、再三ご注文内容の変更は不要と承りましたので……



「い、いやそれは……!」



「だよな! 伝票も先に渡したし、その上で最後通告までしてやったんだからよ! 言い逃れできねえよなぁ!」



「てか780円ごときでギャーギャー喚くなっての」



「クソ、クソ! クソォ! 二度とくるかこんな店! 食べログで1付けてやるぅ!」





ふぅ……あの、皆さん? お気持ちは有り難いのですが煽るような言葉は控えていただけると……
私、あの手のお客様の対応には慣れていますので……て言うか〇〇さんが煽動したんですよね? 大丈夫って言ったのに。



でもまあ……最初に庇ってくれたのは嬉しかったですよ。ありがとうございます。



「ま、何にしても一件落着だな。飲み直そうや!」



「あれ? どうしたの、黄昏?」



「いや、お姉ちゃんに2回ブスって言ったあの汚物さ、やっぱ殺しといた方が良かったかなって。今更になって殺意が抑え切れなくなっちゃった」



「やめなさい。そんなことしても先輩を悲しませるだけよ。それに、〇〇さんを殺る前に捕まっちゃって良いの?」



「そうだった、あんな小物よりもまずは〇〇さんだよね! 消すべき相手は!」



(ごめんなさい〇〇さん。黄昏を止めるにはこう言うしか無かったの。あなたは私が必ず守りますから)