(不二君がたまに打ちにくるというストリートテニスコートに足を運ぶと、そこには確かに不二君がいた……が、他にももう一人。彼の隣には可愛らしい女の子が立っていた)
「不二先輩!ずっと憧れてました、好きです…!」
(思わず物陰に身を隠し様子を伺えば、どうやら不二君があの女の子に告白されているらしい)
……ごめんね
ボクには大切な彼女がいるから、君とは付き合えないよ
(いつも聞いてる声よりずっと固い声音で返事を返す不二君に何故だかこちらまでひやりとしてくる)
「…あ……です、よね……知ってました…不二先輩みたいな、素敵な人に、彼女がいないわけないですよね。…ごめんなさい。聞いてくれただけでも、嬉しかったです…!それじゃあ…!」
(震える声で一気に言葉を吐き出した少女は、顔を両手で覆いながらこちらに向かって走ってきた)
(……あの子、泣いてたなぁ)