うぅ……ねこ……

か、返して……お願いだから……!


(震えた声、引けた腰)
(伸ばした指先は白く、道に寝転がった子猫がじゃれようとする度にびくびくとひっこめられている)

(猫が苦手なのだろうか……)
(驚かせないように、近付きすぎないようにそっと覗き込めば、銀色の何かを咥えた子猫と目が合った)
(上げた鳴き声が んるるぅ とくぐもっていたのはそれを咥えていたからだろう)

え? あっ……

(小さく声を上げた女の子の横を通って、茶トラの子猫が足元にすり寄ってきた)
(甘えるように頭をぶつけてくるその子を撫でながら咥えたものを受け取る)
(指輪……?)




染める紅と流れる蒼