あれは、いつもより帰りが遅くなった日だった。


街灯を辿るようにして、暗くなった帰り道を進む。

最寄りからそう遠くない場所で火事があったせいで遅延に巻き込まれ、こんな時間になってしまった。
火事が起きたのは随分前だったけれど、ボヤ騒ぎに巻き込まれた後の神経が早々落ち着いてくれる訳もなく。とにかく早く帰りたくて、近道を求めて普段は絶対に通らない路地に駆け込んだ。




始まりはその日