おかえり。

どうしたんだよ、そんな驚いた顔なんてして。
俺だよ、Ⅳだ。何度も見た顔だろう？
テレビで、ニュースで、雑誌で。ずっと見ていてくれたろう？

有象無象に何を言われたって響かないが、あんたが綺麗だと言ってくれて嬉しかった。
肌も、髪も指も……ずっと手入れしてたんだ。
……自分の言葉も忘れたのか？ そんなはずはないよな？

あぁそうだ、鍵を変えるならちゃんと言ってくれよ。
合鍵を作る手間もそうだが、こんな頻度で変えてたら費用だってかさんでいくだろ？ 監視カメラやセンサー付きのライトだってそうだ。
○○の周辺のセキュリティを万全にするためなら俺も金を出す、だからちゃんと相談してくれ。な？


……あぁ、そうか。そうだったな。

初めまして、○○。よろしく。
俺は、ずっとずっとずっと……ずっと、あんたを見ていたんだ。そのせいで挨拶するのを忘れてたんだな、ごめん。

(するり、冷えた手が頬に伸ばされた)


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