(声がした方を見れば、キツネ……の子供? が立っていた)
(案内の子だろうか……不思議な仮面に不安がこみ上げ、思わず鞄の紐を握る)

あぁ、ごめん。驚かせちゃったかな。
○○さん……で合っているよね?

僕はこの村の代表、トロンだよ。
見た目に関してはほら、キツネってことで。

(トロンに促され、村を進む)
(草を踏む音、小鳥のさえずり、風の起こすざわめき……)
(都会では意識することのないそれらに気をとられていると、トロンがくすくす笑っていることに気が付く。慌てて誤魔化して、彼のあとを追った)

元々はバイロンって村長がいたんだけど、諸事情で村を離れていてね。
今は僕が代表を務めているんだ。

こんなナリでも色々出来るんだよ? ふふ。
まぁ、困ったら僕を頼って。

……さぁ、着いた。ここがきみのお家だよ。

(トロンが示したのは白い壁に赤い屋根、シンプルな一軒家だ)
(ここが、今日から過ごす家……)

ローンとか諸々の話はまた今度。
いつでも大丈夫だから、生活が落ち着いた頃にでも声をかけてね。

先に皆とお話をするのもいいかもねぇ。
今は僕の家族しかいないけれど、引っ越し予定の人もいるし。

(それじゃあね、と残してトロンは去っていった……)

(何はともあれ、今日から一人暮らしだ!)




Δやっと辿り着けた場所