(とりあえず、トロン以外の住民にあいさつをしに行こう……)

(見上げた空の広さに圧倒されながら、さくさくと野原を歩く)
(都会とは空気からして違う……広い……青い……)

──い"ッ!?

(──と、何か柔らかいものを踏んだ)

(ハッとして足を退け、進行方向に目線を戻す)
(そこにあったのは、木の影から伸びる誰かの尻尾)
(イヌ……にしては大型だ。オオカミだろうか)




誰だよ人の尻尾踏んで黙ってんのは!!
ミハエルか? クリスか? それとも──

……は?

(飛び出してきたのは知った顔だった。一方的に知った顔)
(名前は確か、Ⅳ。雑誌で何度か見たことがある、テレビでも)
(彼も、ここの住人だったのか……)

(けれど彼は、紳士的な態度で有名……のはず)
(少し面食らいながらも頭を下げた)

い、や……
し、まった……今日だったか……!

……はー……
さっきの聞かれて、誤魔化しも何も出来ねぇか。

俺の名前はトーマス。外じゃⅣで通ってるが……まぁ芸名みたいなモンだ。
さっきのことは不問にしてやるから、まちと違うことは黙ってろよ?


……ふぅん、○○っていうのか。
何はともあれヨロシクな?

(グッと、痛いくらいの力加減で握手された……!)


Δはい。…えっと、尻尾踏んでごめんなさい

Δあいさつをしに行こう