名前:監督生

異世界に飛ばされて13日目


……あれ?小エビちゃん泣いてるの?

(っ、フロイド先輩……?)
(覗き込んでくる先輩にボロボロになった顔を見られたくなくて俯くと、ひょいと抱き上げられた。)

(えっ、ちょっと先輩っ!)

小エビちゃん、顔見られたくないんでしょ?
オレ、いいところ知ってるよー。
特別に連れてってあげる。



(鼻歌でも歌いそうなくらいご機嫌な先輩に連れて来られたのは、モストロラウンジの水槽の上だった。)
(ニコニコしている先輩と水槽を、思わず交互に見つめてしまう。)
(えっ、まさかせんぱ、)

そ~、多分だいせいかーい。

(それ、と先輩は勢い良く水槽に飛び込んで、私は思わず先輩にしがみつく。)

(水の中で恐る恐る目を開くと、人魚になった先輩と目が合った。)
(先輩は目を細めて微笑んでいて、差し込む光が乱反射してキラキラと眩しいくらい。)
(まるでお伽噺のような世界に息を飲むと同時に、呼吸を思い出して急いで水面へ浮上する。)

(っは、ごほっ、!)

あー!!
ごめん小エビちゃん、呼吸のこと忘れてた~。
オレ、水の中なら泣いてても分かんねーじゃんって思って連れてきたんだけど。
アズールに水の中で呼吸出来るようになる魔法薬、貰って来ようか?

(先程までとは違って、しょんぼりした様子で私の頭を撫でる先輩に、思わず笑いが溢れてしまう。)
(制服ごと飛び込んだお陰でびしょびしょになってしまったけど、気が付くと涙は止まっていた。)


…ふ、ふふふ!驚いて涙も悲しい気持ちもどこかに行っちゃいました!
泣いているところをフロイドに見つかる