名前:監督生

異世界に飛ばされて13日目


……それで?
お前はどうするんだ?

(え、どうとは……?)

だから、その手紙を寄越したロイヤルソードのやつと付き合うつもりなのか?

(いや、そのつもりは無いんですけど……)
(折角手紙まで貰ったんだし、一回くらい会わないと悪いかなって……)
(そう言うと、トレイ先輩は安心したように微笑んだ。)

なんだ、それなら気にすることないじゃないか。
その気も無いのに会うなんて、相手に期待させるだけだぞ?


……そうだ。その手紙、俺が捨てておいてやろうか?
持ってると気になるだろう?

(いや、でもトレイ先輩にも悪いし、私に手紙くれた人にも悪いんじゃ……)

……お前が気にすることないさ。
それに罪悪感があるなら、その気持ちは俺が上塗りしてやるよ。

その『手紙』は『副寮長宛の書類』で、お前はそれを届けに来てくれたことにすればいい。
……まぁ効果は短時間しか持たないが、手紙を俺に渡した後なら思い出しても問題ないだろう?

(えっ、)

ほら、大丈夫だ。
思い出しても、お前は気に病まないでいいからな。
ーー薔薇を塗ろう。



(あ、トレイ先輩!)
(これ、副寮長宛の書類です!)
(先輩に渡してほしいって頼まれたんですけど……)

ありがとう、助かったよ。
わざわざ悪かったな、ちゃんと受け取った。

(いえいえ、それじゃあまた!)

あぁ、またな。
今度お詫びにお前の好きなケーキ焼くから、考えておいてくれ。

(? お詫びだなんてそんな……。気にしないでください!)
(あ、そろそろ授業始まるので行きますね!)
(あとショートケーキがいいです!)

はいはい、ちゃんと前見て走らないと転ぶぞ。


……あと、お詫びで合ってるよ。
はは、いつ思い出すんだろうな。



トレイ先輩に相談する