……君は、人の気も知らないでズケズケと俺の中に踏み込んで来ておいて。
俺の中に勝手に住み着いて、散々俺の世界を踏み荒らしておいて。
最後は勝手にいなくなるって言うのか。
……酷いヤツだな。
(え、あの、例え話ですよ……?)
……フン、そうか。
別にお前がいなくなっても、ただのバイパーに戻るだけだ。
生まれてから死ぬまで、ただの従者として生きるだけ。
元よりそれが決められた人生だからな。
……従者として生きていくだけなら、俺個人なんてもういらない。
お前がいなくなるなら、その時にちゃんと俺を、ジャミルを殺していってくれ。
何、実際に死にはしないさ。
身の程も弁えず、個の幸せを望んだ罰だ。
君のことは、愚かな傀儡が見たひと時の幻だとでも思うことにするよ。
(そう言うと、先輩は背中を向けて歩き出してしまった。)
(怒らせるようなこと言っちゃったかな……。)
ジャミル先輩、私がいなくなったらどうしますか?