名前:監督生

異世界に飛ばされて13日目


監督生サン、パーティーの主催するの?
大変みたいだね……。

(そうなの……。)
(料理は何とかなりそうなんだけど、音楽とかがなぁ……。)

音楽かぁ……。
お、僕もあまり詳しくないからなぁ。
ヴィルサンとかルークサンなら違うんだろうけど。

……力になれなくてゴメンね。

(ううん、全然!)
(話を聞いてくれるだけで有難いよ〜!)

あっ、でもね、今ヴィルサンからbalを習ってるから、少しなら踊れる……かも。

(? bal?)

……うん。
ポムフィオーレに入ったからには、マナーくらい身に付けてもらわないとね。
勿論、舞踏会のマナーもよって。

なんでそんなもの……、って思ってたけど、今は少しだけ習ってて良かったって思えたかな。
君をダンスに誘えるから。

(そう言うと、エペルくんは跪いて私の手を取った。)

……僕と一緒に、踊っていただけますか。

(えっ、私ダンスなんて……、)

大丈夫、僕も得意じゃないし。
……ここなら大丈夫、かな。

(手を引かれたまま、側の空き教室に連れてこられる。)

ふふ。曲も流れてないし、ここには僕達しかいないからさ。
マナーとか踊り方は気にしなくていいよね。

大丈夫だよ。
ここ、行事とかの時しか使われないし、人は来ないから。

ほら、君の好きなように踊ってみて。
踊りなんて村の祭りとかでしか踊ったこと無かったけど、君を独り占めしてるみたいで何だか嬉しいな。

(っ、うん、楽しい、かも!)

(合わせるだけで精一杯だったけど、少し慣れてくると自然と身体が動くようになってきた。)
(これで合ってるのかは分からないけど……。)

(手とか足に気を遣いながらふと目線を上げると、こっちを見ているエペルくんと目が合ってしまった。)
(真剣な顔をしていたエペルくんは、目が合うとにこりと微笑んで『楽しいね、』と呟いた。)

(それが何だかとても目に焼き付いてしまって、思わず集中が途切れてしまう。)

(えっ、あっ)

うわっ!
……あはは、転んじゃったね。
大丈夫?怪我はない?

(いてて……、大丈夫。ごめんなさい。)

いや、謝らないで。
急にダンスに誘っちゃった僕も悪かったし。

(! ちょっとドキッとして転んじゃったけど、エペルくんと踊れて楽しかったよ!)

(そう言うと、エペルくんは少し驚いた顔をして笑ってくれた。)

……良かった。僕も楽しかったよ。
少しなら練習頑張ってみようかなって思えたし。

ね。ドキッとしたって、ときめいてくれたってこと?
……なんてね。

大変だろうけど頑張ってね。
パーティーが成功するように、応援してるよ。

(うん、ありがとう。)
(何となくダンスのイメージも浮かんだし、音楽の方も何とかなりそう!)

そっか、良かった。

……でも、
エペルくんに声をかけられる