監督生サン、パーティーの主催するの?
大変みたいだね……。
(そうなの……。)
(料理は何とかなりそうなんだけど、音楽とかがなぁ……。)
音楽かぁ……。
お、僕もあまり詳しくないからなぁ。
ヴィルサンとかルークサンなら違うんだろうけど。
……力になれなくてゴメンね。
(ううん、全然!)
(話を聞いてくれるだけで有難いよ〜!)
あっ、でもね、今ヴィルサンからbalを習ってるから、少しなら踊れる……かも。
(? bal?)
……うん。
ポムフィオーレに入ったからには、マナーくらい身に付けてもらわないとね。
勿論、舞踏会のマナーもよって。
なんでそんなもの……、って思ってたけど、今は少しだけ習ってて良かったって思えたかな。
君をダンスに誘えるから。
(そう言うと、エペルくんは跪いて私の手を取った。)
……僕と一緒に、踊っていただけますか。
(えっ、私ダンスなんて……、)
大丈夫、僕も得意じゃないし。
……ここなら大丈夫、かな。
(手を引かれたまま、側の空き教室に連れてこられる。)
ふふ。曲も流れてないし、ここには僕達しかいないからさ。
マナーとか踊り方は気にしなくていいよね。
大丈夫だよ。
ここ、行事とかの時しか使われないし、人は来ないから。
ほら、君の好きなように踊ってみて。
踊りなんて村の祭りとかでしか踊ったこと無かったけど、君を独り占めしてるみたいで何だか嬉しいな。
(っ、うん、楽しい、かも!)
(合わせるだけで精一杯だったけど、少し慣れてくると自然と身体が動くようになってきた。)
(これで合ってるのかは分からないけど……。)
(手とか足に気を遣いながらふと目線を上げると、こっちを見ているエペルくんと目が合ってしまった。)
(真剣な顔をしていたエペルくんは、目が合うとにこりと微笑んで『楽しいね、』と呟いた。)
(それが何だかとても目に焼き付いてしまって、思わず集中が途切れてしまう。)
(えっ、あっ)
うわっ!
……あはは、転んじゃったね。
大丈夫?怪我はない?
(いてて……、大丈夫。ごめんなさい。)
いや、謝らないで。
急にダンスに誘っちゃった僕も悪かったし。
(! ちょっとドキッとして転んじゃったけど、エペルくんと踊れて楽しかったよ!)
(そう言うと、エペルくんは少し驚いた顔をして笑ってくれた。)
……良かった。僕も楽しかったよ。
少しなら練習頑張ってみようかなって思えたし。
ね。ドキッとしたって、ときめいてくれたってこと?
……なんてね。
大変だろうけど頑張ってね。
パーティーが成功するように、応援してるよ。
(うん、ありがとう。)
(何となくダンスのイメージも浮かんだし、音楽の方も何とかなりそう!)
そっか、良かった。
……でも、