名前:監督生

異世界に飛ばされて13日目


(RRR……、RRR……、)
(出ないな、やっぱり忙しいのかな……。)

(諦めて電話を切ろうとすると、漸く電話が繋がった。)

『っもしもし、すみません。少し立て込んでまして……。』
『出るのが遅くなってしまいました。』
『それで、何か御用ですか?』

(いや、何だか眠れなかったので……。)
(お忙しいなら大丈夫です。すみませんでした。)

『あぁ、大丈夫ですよ。立て込んでいたといっても、売上の集計をしていただけですから。』
『それももう終わります。』

『眠れないのなら、よく眠れるようにホットドリンクなどはいかがですか?』
『出張サービスです。フフ、お安くしておきますよ。』

(えっ、その、贅沢出来るような懐事情じゃないので……、その……、)
(あたふたと告げると、電話越しにカチャカチャという食器の音が聞こえてきた。)

『おや残念。もう既に作り始めてしまったので、これは勿体ないですが廃棄になってしまいますね。』
『どなたかに飲んでいただけるならば、廃棄しなくて済むのですが。』
『困りましたね……。』

(うっ、ずるい……、)
(……それじゃ、その、いただきます。)

『フフフ、それではもう少々お待ちください。』
『あぁ、お代は結構ですよ。少しからかっただけなので。』

『ここを閉めたら直ぐに行きます。』
『暖かくして待っていてくださいね。』


(……そう言うと、電話は切られてしまった。)
(仕事中だったのに、悪いことしちゃったかな。)


アズール先輩に電話する