名前:監督生

異世界に飛ばされて13日目


ピッピッピッピッーー、

どこからか、電子音が聞こえる。
無機質で少し耳障りなそれは、眠りの縁にいた私の意識をゆっくりと覚醒させた。


(あれ、)
(こんな音の時計、オンボロ寮にあったっけ、)


目を覚ますと、私は広いベッドに一人で横たわっていた。
隣で寝ていたはずのグリムの姿は無く、シーツもオンボロ寮のものとは違い丁寧に糊付けされていた。

(私、こんな所で寝た覚えは無いんだけど……)


周りを見渡すと、私が寝ているベッドの他にはサイドテーブルくらいしか見当たらない、簡素な部屋だということが分かった。
白を基調とした空間は、寒々しいほど無機質だ。
部屋の隅には同じ白色をしたドアが、ひっそりと佇んでいた。


(あれ?この部屋窓がない……)

漸く、私はもう一つの違和感に気がついた。
この状況に関する違和感の他に、この空間に関する違和感。
部屋の壁には先程見つけたドアが一つ付いているだけで、窓が見当たらない。
どんな部屋でも、大体一つくらいは窓があるはずだけれど。

窓があれば、外の様子を伺えたのに。
こうなると、ドアの外に出てみる他に私に出来ることは無い。
あぁ、こんな時私も魔法が使えたら良かった。


私は恐る恐るドアに近付くと、そっと聞き耳を立てた。


☆プロローグ