『……、……』


(誰かの声が、聞こえる)


『……………、……………』


(そこは白い空間だった)
(上もなく、下もなく、前も後ろもなく)
(ただ、白だけが広がる空間)



『……これは、忘れないで


(そんな空間の中、鼓膜を震わせない声が、静かに響いていた)


きみは、この町で起こり得ることを何も知らない
きみは、この町で起こり得ることを経験し得る


(一体何の話をしているのか、考えようとしても思考が纏まらない)


『…、………』

『…………、……、………』


(耳に届かない声が遠退いていくのに合わせて、意識も更に深く沈んでいく……)





蛤の見る夢