(肺の中身が叩き出され、背中と喉に痛みが走る。噎せる。涙が滲む……)
(どうやら背中から着地したらしい、痛い)

(何度か咳き込みながらも体を起こし、辺りが霧に覆われているのを認識するのと同時、視界の端で黒い塊が落下した)

(手を伸ばせば届く距離、振り向けば何があるか分かる距離だった)

(グレーにも見える黒いスーツ、少しくすんだ赤色のネクタイに寝癖の散らばった頭)

(……間違いない、“足立透”だ)





波紋は広がる