(真っ暗だった視界が段々と白に染まっていき、ピントが合うほどに黒く四角い枠が駆け抜けていくのが見える)
(いや、違う、これは──)

(“落ちている”)

(幾度となく見た演出は現実であり、体を襲う自由落下の感覚もまた現実だ)
(私は、今、“テレビの中に落ちている”)

(余りに非現実なそれに困惑しても、自由落下の最中に取れる行動などない)
(出来たことと言えば、仰向けの視界で四角が駆け抜けていくのを眺めながら、いつかくる衝撃を覚悟して身を固める程度だった)



──ドサッ

投じられた一石