義兄史郎「君は僕だよね」
義弟史郎「きっと境遇が違うだけだね」
孤児史郎「僕もわかる。3人とも僕だ」
義弟史郎「今の僕には子供の頃から好きな人がいるんだ。でも報われない、絶対に。その人を幸せにしてくれるような男性がいるんだ。お金持ちで、顔は良くて、調子に乗るけどいい男だよ。思いだけ持っていたって、何も手元にない僕じゃ勝ち目なんてあるはずない。わかってるけど少しでも僕を見てくれって足掻いてるよ。それが今の僕だ」
孤児史郎「僕にもいるよ、好きな人。施設の優しい職員さん。でも僕のことは子供としか思ってくれない。施設から出たらきっと本当に忘れられちゃうんだろうな。沢山の子供のうちの1人で、印象に残ったりしない。だけどあの人は僕を見てくれて、ちゃんと向き合ってくれる人なんだ。だから大好き。施設を出るまでの時間だけど、思い出を作りたいんだ」
義兄史郎「僕にも大切な人がいる。優しい母親と頼りになる父親、それから可愛い妹がいる。でも妹とうまくいっていないんだ。僕が不甲斐ない兄だから仕方ないんだけど……それでもようやく出来た大切な家族から。拒絶されるのは少し辛いな」
孤児史郎「どの世界の僕も報われないね」
義弟史郎「報われる僕がいるといいね」
義兄史郎「そうだね。でもきっと、些細なことで報われるんだよ。タイミングや人との関係とか」
♂義弟史郎と義兄史郎と孤児史郎が謎の空間で出会う