(その瞬間全てを信じたくなくて、体から力が抜けた。その日の記憶が全くない。ただ、あの時からひたすら気持ちを押し殺して手配をして葬儀を終えた。彼女のご両親やご親戚に挨拶をして、僕は廊下を歩いていると、嫌いだった親戚にぶつかった。彼等は僕に“また新しい女を探せば良い。今度はちゃんとした女を捕まえろ”なんて言ってきた)
ふざけるな……ふざけんなよ‼︎ 僕がどんな気持ちで生きてきたか考えたことあるか⁉︎ お前らの言葉でどんな気持ち抱えて過ごしてきたか考えたことあるか⁉︎ 彼女だけだったんだよ‼︎ 劣等感だらけだった僕を変えてくれたのも〇〇、愛してくれたのも〇〇だけだった‼︎ お前らにとって僕が不必要な存在だったなら、僕にとってはお前らが不必要な存在だ‼︎ 消えろ、消えろよ‼︎ 僕の妻は〇〇だけなんだよ‼︎ 他の、人じゃだ、めなん、だよ……
(気づくと五十嵐くんが僕を羽交い締めにしていた。長内は真顔で親戚を引き摺って行った。高畑さんが僕を宥めるように何か話しかけている。自分の手についた血液を見て、自分があの男を何度も何度も殴っていたこと、漸く理解した。やっぱり僕は〇〇みたいな優しい人にはなれなかったんだと分かったら、涙が止まらなくなった)
♂毎晩史郎の枕元に立ち、悲しそうに史郎を見つめる