(何も言わない彼が服を着た私の手を引いて車へ向かっていく。助手席に座らされてシートベルトつけられて発車した)

愛されたことのない人間に愛なんてわかるはずないって笑われたんだ。あんな男から〇〇に対する気持ち全てを否定された。僕への思いなんてもうないんだって言われて、動画送りつけられて……どんな気持ちになったかわかる?

長内には殺意、〇〇には怒りが湧いた。〇〇のことを好きになったのも告白したのも結婚したことさえ、全部間違いだと思った。君となんて結婚しなきゃ良かった、出会わなきゃ良かった……そんなこと思いたく無かった。幸せにしてくれた君を今度は僕が幸せにしたかった、一生愛したいって思った……でも、それも間違いだ。

僕と生きるか僕と死ぬか、君にとってはどっちが地獄かな。絶対に幸せになんてしてやらない。〇〇のことを今まで幸せにしたいなんて思ったのが僕の最大の過ちだ。不幸にしてあげる。長内も君も、不幸になれば良い

(荒々しい運転をする彼の横顔を見れば、微かに泣き跡が確認できた)

♂何も言わずぼんやりとシートに体を預ける
♂(…なにも…なにも言えない。史郎の望むようにしよう)
♂……しろう、…