五十嵐兄「薬、忘れず飲めよ。それから……別れて良かったのか?」
五十嵐「辛くなって困るから、俺ちゃんと飲んでるよ。別れてからは連絡一切ないし、先輩とは別の場所に移動させてもらって急に仕事楽になっちゃったし。先輩にお弁当作ることもないから1人分作れば済むし、朝ごはんだって夕飯だって自分の分だけ作れば良いし、先輩の家に掃除しにいかなくて良いし、呼び出されることもないから休日はゆっくりできる。他の先輩たちと食事行けるし、もう……もう浮気したとかしないとか怒ることもないし、嫉妬したり悩んだり泣いたりしなくて済むよ。別れて良かったよ」
五十嵐兄「ボロクソだな……じゃあ、なんでずっと付き合ってたのか分かんねえな」
五十嵐「いつか俺だけ見てくれる、そうさせて見せるって信じてただけ。笑えるよな……好き好き言いまくって執着して付き纏って、馬鹿だよね! いろんな人に迷惑かけるなら、別れた方が良いんだ」
五十嵐兄「好きな相手と付き合って真っ直ぐ向き合った、それは正しいよ。ただ容量みたいなもんはあるから、もっと自分の体と心も大事にしないとな。それに2人の付き合いを俺は間違ってなかったと思う。前までのお前は心配なくらいポジティブ過ぎた……というか、中々ネガティブな部分を出さなかったからさ。吐き出せるようになったのは彼のおかげだろ。だから、もう泣くなよ」
(昔の春は明るくて優しくて誰にでも好かれるような素直な良い子だった。決してネガティブな言葉は人前で吐かないから、少し人間味の薄い奴だなぁなんて考えてたし、そのうち何か犯罪起こさなきゃ良いなくらいに思ってた。先輩とやらに出会って愚痴ったり泣いたりする弟を見ると、なんつーか……少し前のコイツじゃ考えられない部分を出してくれてありがとうって感じだな)
→別れた後、音信不通になる