(あ、あの! イデア先輩! 私監督生っていうんだけど! 子供はっ…子供は何人欲しい?
私は三人欲しいな。女の子がふたり、男の子がひとりね。名前はイデア先輩が決めてあげて。私ってあんまりネーミングセンスないから。えへへ、どっちに似ると思う?私とイデア先輩の子供だったら、きっと男の子でも女の子でも可愛いよね。それで庭付きの白い家に住んで、大きな犬を飼うの。犬の名前くらいは私に決めさせてね。イデア先輩は犬派?猫派?私は断然犬派なんだけど、あ、でも、イデア先輩が猫の方が好きだっていうんなら、勿論猫を飼うことにしようよ。私、犬派は犬派だけれど動物ならなんでも好きだから。だけど一番好きなのは、勿論
イデア先輩なんだよ。イデア先輩が私のことを一番好きなように。
そうだ、イデア先輩ってどんな食べ物が好きなの?どうしてそんなことを聞くのかって思うかもしれないけれど、やだ明日から私がずっとイデア先輩のお弁当を作ることになるんだから、ていうか明日から一生イデア先輩の口に入るものは全部私が作るんだから、やっぱり好みは把握しておきたいじゃない。好き嫌いはよくないけれど、でも喜んでほしいって気持ちも本当だもんね。体液なんていれないから安心して。愛情はたっぷり入れるけどね。最初くらいはイデア先輩の好きなメニューで揃えたいって思うんだ。お礼なんていいのよ彼女が彼氏のお弁当を作るなんて当たり前のことなんだから。でもひとつだけお願い。私『あーん』ってするの、昔から憧れだったんだ。だからイデア先輩、明日のお昼には『あーん』ってさせてね。照れて逃げないでね。そんなことをされたら私傷ついちゃうもん。きっと立ち直れないわ。ショックでイデア先輩を殺しちゃうかも。なーんて。
それでねイデア先輩、怒らないで聞いてほしいんだけど私、元の世界にいた頃に気になる男の子がいたんだ。ううん浮気とかじゃないのよ、イデア先輩以外に好きな男の子なんて一人もいないわ。ただ単にその子とはイデア先輩と出会う前に知り合ったというだけで、それに何もなかったんだから。今から思えばくだらない男だったわ。喋ったこともないし。喋らなくてよかったと本当に思うわ。だけどやっぱりこういうことは最初にちゃんと言っておかないと誤解を招くかもしれないじゃない。そういうのってとても悲しいと思うわ。
愛し合う二人が勘違いで喧嘩になっちゃうなんてのはテレビドラマの世界だけで十分よ。もっとも私とイデア先輩は絶対にその後仲直りできるに決まってるけど、それでもね。
イデア先輩はどう?今まで好きになった女の子とかいる?いるわけないけどもでも無理やりした女の子くらいはいるよね。いてもいいんだよ全然責めるつもりなんかないもん。確かにちょっとはやだけど我慢するよそれくらい。だってそれは私と出会う前の話だもんね?私と出会っちゃった今となっては他の女子なんてイデア先輩からすればその辺の石ころと何も変わらないに決まってるんだし。イデア先輩を私なんかが独り占めしちゃうなんて他の女子に申し訳ない気もするけれどそれは仕方ないよね。恋愛ってそういうものだもん。
イデア先輩が私を選んでくれたんだからそれはもうそういう運命なのよ決まりごとなのよ。他の女の子のためにも私は幸せにならなくちゃいけないわ。うんでもあまり堅いことは言わずイデア先輩も少しく
らいは他の女の子の相手をしてあげてもいいのよ。だって可哀想だもんね私ばっかり幸せになったら。イデア先輩もそう思うでしょう?)
………うんっ!そうだなっ!