浴衣か……確かに、せっかくだし着てぇってのはあるよな…。

…よし、ちょっと待っててくれ。
俺に当てがあるんだ、あの人なら着付けも出来るし きっと快く引き受けてくれると思う。

(言うと、一郎はスマホを取り出し どこかに電話を掛け始めた…)

……あっ、もしもし。萬屋ヤマダの山田一郎です。えぇ、やっ…こちらこそいつもお世話になってます。
…え?ミカン?っそんな、良いですって。いっつも貰ってばっかで……ほんとですか?じゃあ、また明日ご依頼承ってるんで その時に頂きますね。

あぁそうそう…お電話したのはそのご依頼の事じゃなくて、ちょっとお願いがあったんすよ。

えぇ、それが……

(かくかくしかじか。)

……ってことなんすけど、大丈夫ですかね…?

…ほんとですか!ありがとうございますっ
じゃあ、当日は……分かりました。一緒にお家にお伺いさせてもらいます。…えぇ、はい……はいっ

それじゃあ、当日よろしくお願いします。…えぇ、明日のご依頼も精一杯頑張りますね。…はい、ありがとうございます。…失礼します。

(電話が終わったらしい…)

…うっし!浴衣の着付け、やってくれるってよ。
いま電話してたのはとあるお客さんなんだが、毎年着付けしてたお孫さんが今年から家を出ちまったらしくてな……浴衣を着る人が居なくなったって、寂しがってたんだ。

着付けが趣味の人だから浴衣も沢山あるっていうし、祭りの日は少し早めに約束したから その人に着付けてもらえば良いだろ?

……ちょっと強引過ぎたか?
悪い、よく考えたらお前の予定とかも聞かねぇで勝手に……その人すげー良い人だし、お前さえ良けりゃって感じなんだが…。

どうだ…?

嬉しい!一郎ありがとう!!(思わず抱きつく)
行く!浴衣も着たいなー