(足音は徐々にこちらに近づいて来る…)

マズいな……っ悪い、ちょっとじっとしててくれ。
今からお前にキスするフリだけするけど、声は上げないでくれよ?すぐ終わるから。


(言うと、一郎は壁と自身の間に閉じ込めるように体を寄せ 覆い被さるように顔を近付ける…とんでもなく距離が近い……)

………、

(少し顔を近付ければ唇が触れてしまいそうだが、一郎は鋭い目付きで気配を窺っている…)

>っ……チッ…こんなとこでイチャついてんじゃねぇよ…!

(男の苛立たし気な声が響くと、足音は足早に遠ざかって行った)

………行ったか。
ふぅー……何とかなったな、お前がじっとしてくれてたおかげで お前も俺の顔も見られてねぇし。

…大丈夫か?悪い、さすがに気持ち悪かったよな……

(心配そうに顔を覗き込まれる…)

ぁ…(真っ赤な顔で見上げる)
だ、だ、大丈夫…(頬を赤らめながら目を逸らす)
緊張と一郎の格好良さに心臓がバクバクする