へー……蕾…牡丹………で、松葉か…
(線香花火は刻々とその模様を変えて行く…)
確かに、言われてみりゃそう見えて来るな…。
ちゃんと"そう見えるな"っていう言い方を植物で表す辺りに、風流とか粋ってのを感じる。
…ここら辺から柳っぽいかな……
線香花火って、この刻々と変わる様ってのに侘び寂びを感じるよな。
俺も上手く説明出来ねぇけど、一瞬の儚さっつか……桜の散る時に似てる気がする。
…一瞬だから、尚のこと綺麗なんだろうな。
(そう呟いた一郎の横顔が徐々に暗くなって行く…
見る見る火花が小さくなり、消える直前になると 先からシュっと音を立て火の玉が落ちて消えた……)
散り菊、か……
…ありがとな、教えてくれて。
こういうことを知ると、より綺麗なモンだなって思えるわ。
最初が蕾。火花が飛び出すのが牡丹、激しくなるのが松葉、だんだん垂れ下がるのが柳。そして消える直前から落ちるまでが散り菊。…植物に例えるの、風流だと思わない?