っ、……悪い。

(一郎はハッとした表情で拳を開いた…手のひらには赤く爪の痕が残っている……)

お前には、助けられてばっかりだな。

…お前のためにも、血反吐はいたって、泥水啜ったって、俺は負けねぇ。

……負けられねぇんだよ。

(あなたの手をそっと握り返した…)
握られた拳に手を重ねて優しく微笑む