貸してみろ。
(スマートフォンを渡すと、一郎は迷わず電話に出た)
お前か、〇〇が断ってるってのにしつけぇ野郎は。
(あなたの耳にまで、男の文句を言っているような声が漏れ聞こえて来る…)
……認めたくないって気持ちも、諦めたくないって気持ちも理解は出来る。…が、〇〇はキッパリ断ってるんだ。
お前も男なら、フラれた事を潔く受け止めて 本人の幸せを願ってやるのが真に格好良い男ってやつじゃねーのか?
フラれた事も受け止められず、一端に文句だけ吐いて付き纏う野郎なんざ男の風上にも置けねぇ…ただのゴミカス野郎だぜ。
(一瞬、スピーカーの向こう側が静かになった…)
お前はそんなやつになりたいのか?…違うなら、テメェの気持ちだけじゃなくて 〇〇の気持ちも尊重してやれ。
…それが出来ねぇってンなら、俺んトコに来い。
いつでも受けて立ってやるよ。
(ブツッ。)

っと……これで、さすがに諦めんだろ。
まだ続くようだったら俺に言え、そん時は容赦しねぇからさ。
(にこりと微笑むも、目の奥が笑っていない気がする…)