(信号が赤になり、滑らかに車が止まる…一郎は指先でゆっくりとハンドルを叩き、口元を緩めた…)

…そっか。
つっても、話すこと……肝心の主役が寝ちまったからなぁ…。

っあぁ、そうだ。…二郎と三郎、割とすぐ寝ちまったろ。

あいつら、今日寝不足なんだよ。
今日を楽しみにし過ぎて、二人揃ってよく眠れてねぇんだ。

二郎は勉強そっちのけで 三郎から借りた天体の本を遅くまで読んでて、
三郎は三郎で 星の名前やら何やらを俺とお前に教えるんだっつって、いつにも増して色々勉強してたみたいだしな。

ほんと、遠足前の子供じゃねぇんだからなぁ……

(バックミラー越しに後ろを見遣り、一郎はどこか困ったように微笑む…)

…いや、俺も似たようなモンかもしんねぇ

三郎の誕生日だからってのもあるけど、お前も来るって三郎から聞いて やっぱ多少緊張はしてたし。

緊張してたの?
私も今日1日中ずっとそわそわしてた。楽しみ過ぎて何回も時計確認しちゃったよ。
一郎とお話してたい。