(出来るだけ堂々と言い返す……も、男は"またまたぁ。"と全く取り合わない…
誰か助けてくれそうな人はとさり気なく周りを見回すも、誰とも視線は合わない…。)

俺の彼女に何してんだ?
(男の背後から聞き慣れた声が響く…見ると、他でもない一郎の姿が
既に達者な滑りでこちらに近付き ジャッという鋭い音と共にその場にピタリと止まった…
その拍子にエッジで削られた氷が男の足元に掛かり、男は苛立った声を上げる…も、一郎は軽く笑っている)
すいませんっ、俺まだ慣れてなくって…。
けど、これで少しは冷めました?
人の女に声掛けるテメェの頭がよ。(怒気を含んだ声に、男は面倒くさそうに去って行った……それを見送り、あなたに向き直る)
悪い、すぐに駆け付けてやれなくて…声掛けられてる姿が見えたんで急いだんだが、スケートだと勝手が分からなくてさ…
(一郎の額にはじんわりと汗が浮かんでいる…)