一朗君にだけ?

>えっ、ちょっと待てそれ俺も初耳なんだけど。

ふむ……この情報だけで断定は出来ないけれど、一郎君にだけ見えるとなると…
もしかしたら、〇〇さんにとって好意がある人にだけ見える…というものか……或いは、……いや、これでは結局はどちらも同じ意味になってしまうかな?

(どこか意味深に微笑むと、改まるように"さて…"と口を開く)

その、耳と尻尾が見える…というのは、どういう風に見えるのかな。
動いたりはするかい?…例えば、一郎君の感情に合わせるように動いて見える……だとか。

(頷くと、寂雷は納得するように軽く息を吐く……背後で一郎の"嘘だろ…"という声が聞こえた気がする)

…あなたが見ているものは、違法マイクの効果が見せている一時的な幻だ。
ただし、まだ憶測の域を出ないけれど…"見ているもの自体"は、一郎君の内面が見えているものなのかもしれない。

……きみが、"見たいもの"の可能性もあるけれどね。

(一郎の方に振り向くと、背後に立つ一郎はどこか釈然としないような表情をしている…)

>…じゃあ、なんだ……今まで、その幻の耳やら尻尾やらがそっぽ向いたり垂れたりしてたって事か?

彼女から話を聞く限りでは、そうみたいだね。…今も、恐らくそう見えていると思うよ。

(彼の言葉通り、一郎の頭上には黒く艶やかな耳がぴんぴんと小刻みに跳ねている…尻尾は少しぱたぱたと忙しない……)

>……なんか、負けた気がするんすけど…

一朗君からすれば、あまり気持ちの良い事ではないだろうけれど……大丈夫。これは3日程で収まるよ。
今まで、そういった比較的害の無い症状は大体3日前後で収まっているからね。

先ほどは頭痛も外傷も無いって言っていたけど、少しでも体調の変化があったらすぐに一郎君に言ってほしい。
その時は、私も医者として必ずサポートするよ。

…長々とごめんね。

念のため、頭痛が出た時の鎮痛薬を出しておきます。
〇〇さん、一郎君に質問が無ければ診察は以上になるけど……

……なにか、気になる事は無いかな?

>…今回のこと以外でも、寂雷さんなら相談に乗ってくれる。言いにくい事があるなら席外すぞ。

(……相変わらず一郎の耳はぴろぴろと動いている)
それが…一郎にだけ見えるんです