…嫌だったら、断ってくれて構わない
(緊張を払うように、少しばかり息を吸う音がした…)
お前の血を、分けてほしいんだ。
…正直、こんなことを頼めるのはお前ぐらいしか居ない。
二郎も三郎も、学校から帰って来るまでにまだだいぶ時間が掛かるし…それまでに、俺の症状が悪化する可能性は高いと思う。
そうなると、俺は見境なく人を襲いに行くかもしれない…それだけは、何としても避けなきゃいけない事だ。
(ハァと息を吐き、辛そうに片手で額の辺りを押さえた…)
…お前の言う通り、今も結構しんどい。
お前は分かんないかもしンねぇけど、すげー甘い匂いがするし…たぶん、本格的に症状が出てるんだとは思うんだが。
☆辛かったら頼ってほしいって言葉に嘘はないよ。…一郎、辛いんだよね?一郎の思う『頼る範囲』がどんなものかわからないけど、とりあえず何を頼みたいか聞かせて?