「……やあ、君が優君かな?僕はグレン。
君が来る事は分かっていた。アオイ様はおおよその事態を把握しておられる」
「はい、ボクが優ですけど…え、それじゃあボクの」
優の話を遮って被せるようにグレンが話す。
「アオイ様は君に会いたがっておられる。是非会いに行くといい。心配せずとも連れていってあげよう。……今すぐにな」
グレンは短い棒状の獲物を持つと優に向かって振り下ろした!
瞬間、電磁スパークのムチが現れ優を捕え締め上げる!
「うあっ!な、何をするんです……!」
「フッ、アオイ様は確かにお前を欲しがった。お前はドラゴンの血を持つ亜人…そんな化け物を味方に出来ればアオイ様の目的も叶うだろう」
「アオイ様の目的……!?それに、ボクが化け物って…」
「……自覚がないのか?お前はドラゴンの強い魔力と力を秘めている。そういう奴を化け物と呼ばずして何と呼ぶ?
でも安心したまえ、アオイ様は寛大だ。お前のような化け物も仲間にしてくださるんだ。
アオイ様の目的はこの歪んだ世界を作り直し皆の理想郷を作る事。素晴らしいだろう?……その為にも戦力がいる。喜ぶがいい、お前はうってつけの逸材だ」
「そんな事……!ボクは貴方たちになんか従わない!」
「……ほう?僕の言葉を否定するという事はアオイ様の意思を否定する事だ。分かるな?」
グレンは電磁ムチを持つ右手と対の、左手にダガーナイフを握りしめた。
「もう一度だけチャンスをあげよう。アオイ様のもとで忠誠を誓え」
「い、イヤだ…!」
「…………口で言って分からん奴にはこうするしかないか。顔か腹、どちらがいい?選べ」
「…………」
ゆっくりと頬に刃が突き立てられ、紅い線が刻まれた。
「ぐっ!?」
グレンは不意に背中に痛みを感じた。咄嗟の事態にムチが緩み、優の拘束が解ける。
振り返って見ると拳程の大きさの石が落ちている。
「優、君との約束ゆえ傍観を貫くつもりだったが許せ!この者の非道を見て見ぬふりをする事は私には出来ない…貴様の無抵抗の者を痛め付けるその捻じ曲がった根性、ここで叩き直してやる!」
ヘレネは怒りに震えている。腰の剣を抜くとグレンに向かって行った!
「誰だお前は…?まあいい。邪魔するなら相手になる」
「シャルロットの過去5」