──その日、あたしは断続的に続いている頭の奥を針でつつくような頭痛で目が覚めた。
……まだ少しズキズキしている。
「……ああくそ、いって……」悪態をついて痛みを紛らわせる。
頭痛?
頭痛なんて有り得ない事だ。あたし達には。
アメリアの加護の中で同じ時間を生き続けているあたし達は、そもそも体調不良なんて事が起こりようがない。
手探りで枕元のスマホを取り画面を見てみる。
時刻は深夜、午前2字を少し過ぎたところだった。
──アメリアの加護に干渉出来る程の魔力を持ったものが、どこかにいる。
その可能性を無視する事は出来ない。おそらく、それ程遠いところにいるとは思えないが──
とはいえ、まだ眠い。
もし、それがなんらかの敵意や好奇を持つものであればこの病み上がりのような意識のままフラフラ出ていったら、かえって相手の思う壷かもしれない。
…………どうする?
出ていって魔力の元を探してみるか?
それとも、相手がはっきり分からない以上とりあえずこのまま寝ておくか。
少し考えたあと、あたしは──
「とりあえず行ってみる」「とりあえず寝ることにした」