私は、このまま殺されるしかないのだろうか。
お腹の痛みももう殆どないし、頭も回らなくなってきている。
体の寒さも和らいできて、震えが止まり、呼吸が楽になる。
そして少し冷静になってきて、ふつふつと破られた腹の底から怒りが込み上げてきた。
こんなに理不尽なことってあるのだろうか。
だって私はずっと友達だと思ってたのに、本当の名前すら未だ知らないままだなんてあんまりだ。
私は何も知らないまま死ななければならないのか?
このままでは死んでも死に切れない。
殺されてしまう前に言わなければ。
彼に今一番聞きたいことがある。
震えが止まった今ならきっと言えるはずだ。
浅草7