腹を破った。
お前はもう助かることはない。
腹部に感じたことのない、鉛を打ち付けられたような痛みが走った。
月彦さんの手からはぼたぼたと私の血が滴っている。随分呆気のない幕切れだ。
好きだ何だと、蛇の如くしつこく付き纏っていた女とは思えんな。
愚鈍なお前でも分かるだろう、もう直死ぬのだと。
その出血ならば、持ったところで一刻と経たず事切れる。
意識が霞がかってぼんやりとしてくる。
指先から力が抜けていく。
腹の痛みも鈍くなってきて、ああ死ぬのかな、なんて他人事のように感じた。一つ。死ぬ前に良いことを教えてやろう。
お前が執拗に入れ込んだ月彦という男はこの世に存在しない。
私は人間でもない、元々お前と相容れることはないのだ。
すとん、と何かが腑に落ちた。
この人に感じていた不思議な感覚のか正体がようやく分かった気がした。……そろそろ頃合いか。
戯れが過ぎたな。
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