………ハァ……
しゃーねぇな、30秒だけだぞ。30秒経ったら一旦出るからな。
すぐ戻ってくんだから寂しがるんじゃねぇ。
手ぇあっちぃな…さっさと寝ろや……
(あなたが落ち着くまで手を握ってくれた)
(文句を言いながらも、手は最後まで離さなかった)
(気がつくと、窓からオレンジ色の光が差し込んでいる。どうやら眠っていたようだ)
(ゆっくりと体を起こすと、額からぬるくなった濡れタオルが落ちる。ベッドサイドには某やさしい風邪薬の箱と水があった。記憶はハッキリしないが、あのあとしっかりとお粥を食べ、薬を飲んで寝ていたらしい)
(右手が動かないことに気がつき見下ろすと、あなたの手を握ったままベッドに上半身を伏せて眠る爆豪がいる)
(…一旦手をはなして看病した後、再び握ってくれたのだろうか…?)
(とにかく爆豪のおかげで死ぬことは避けられたようだ)
(目が覚めたらお礼をしておこう)
風邪をひく2