(劇場に入ると、まだ上映時間には早く人は疎らだった)
(映画に出てくるキャラクターのファンなのか、カバンにたくさんグッズを付けた人やぬいぐるみと半券の写真を撮る人などもちらほら見受けられる)
(あなたも映画のキャラクターは好きだが、そんなものは羨ましくも何ともない。だって世界でいちばん好きな人は、今まさにあなたの隣にいるのだから)
(席番号を確認し、
爆豪と並んで座った)
(肩に相手の体温を感じるような距離…隣から漂ってくる爽やかないい香り(シトラス系のシャンプーだろうか?)に、上映が始まってからも心が落ち着くことはなかった)
(隣に大好きな人がいて、同じ時間を過ごしている…そしてそれを誰も知らない……)
(秘密というものは、人との距離を縮めるのだ)
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