(廊下を歩いていると、階段に差し掛かったところで話し声が聞こえた)
(そっと覗いた窓の光の入らない踊り場には、見知らぬ女子生徒と見慣れたミルクティー色の頭が)
(…ありがちなやつに遭遇してしまったようだ)


(懸命に想いを伝えようと頬を染めながら話す女生徒に対し、目の前の人間になど欠片も興味がないと言わんばかりの態度の爆豪)

(時間を気にしてだろうか、不意に顔を上げた紅い瞳と目が合ってしまった)
(バレた…!?)


………。



(てっきり額に青筋でも浮かぶものだと思い身構えたが、口端を吊り上げただけで特に怒った様子はない)



話はそれだけか?もういいだろ。行くわ。

は?手短にっつったろ。これ以上付き合う気はねえよ、断る。

今後一切俺に関わるな。親しくもないモブに付き纏われんのはめんどくせぇんだよ。





おい!


(引き止めようとする女の子の声を遮りながら一方的に話を終えると、あなたを見上げて声をかけてきた)



降りて来いや!行くぞ。


(言われるがままに恐る恐る階段を降り、爆豪の傍に行くとグイッと腰を引き寄せられた)



俺、彼女いんだよ。テメェと付き合う気は欠片もねぇからな。


(爆豪の腕の中に収まったあなたを見て、女の子は涙を浮かべ走り去って行った)





よし、行ったな。


(女の子の姿が見えなくなると、腕から解放された)
(そのまま階段を降り行こうとする爆豪に駆け寄り、問いただす)



あ?嘘に決まってんだろ、彼女なんかいる訳ねぇだろうが。

あのまま何言っても食い下がられて、面倒事になることは避けられなかっただろうからな。居合わせたテメェを利用させて貰っただけだわ。勘違いすんなよ!

ご苦労だったな、もう行っていいぜ。


(ぽん、と頭をひとつ叩いてから行ってしまった)

(…去り際に見えた耳が少し赤くなっていたのは気のせいだったのだろうか?)
告白されてる所を目撃する