……ぃ、……ぉぃ……!……………



おいっつってんのが聞こえねぇのかこのバカ!!!!!


(聞き慣れた大声に意識が引っ張り上げられた)
(気がつくと、大きなショーウィンドウの前に立っていた)

(爆豪だ…)
(確か今日は家族と出掛けているのでは?)


あ?終わって戻って来たんだよ。
それより何でメッセージ返さねぇんだ!
寮にいた奴らに聞いたら、出掛けたまま帰ってねえっつーから、テメェの行きそうなとこ片っ端から探す羽目になっただろうが!!

(メッセージ?)
(スマホを確認すると、十数件の着信とメッセージが…)
(おや?)


いつもならすぐさま返事すんだろ。迷子にでもなりやがったか?


(日付の表示は10月28日となっている)
(28日?)
(確か今日は31日のはず…)


は?ハロウィンはまだ先だろうが。
楽しみ過ぎて日付の感覚がおかしくなったか?ガキかよ。


(爆豪に訊ねても、今日は10月28日で間違いないらしい)

(考えてみれば、今日は爆豪が捕まらなかったので、家を出てコーヒーショップに寄り、ウィンドウショッピングをしていたのだったか)
(なんだか長い夢を見ていたような気がするが、どこかでボーッとしてしまったのだろうか?)


寮の奴ら、ハロウィンに向けて企画か何かやってるらしいぞ。モブに伝えて連れて帰ってこいってよ。
…は?俺が参加するとでも思ってんのか?

とりあえず帰んぞ。体冷えて…ねえな。
ん…ああ、コーヒーショップ行ったんか。コーヒーの匂いするわ。テメェ苦ぇの嫌いじゃなかったか?前はフラペチーノにしたんだろ?


(確かにコーヒーショップには行ったが、飲んだのはそのフラペチーノだ。コーヒーは飲んでいない…?)
(きっとお店のコーヒーの香りが服に移ったのだろう)
(呆れ顔の爆豪に手首を取られる)

(ッ痛い!)


なッ…おい、そんな強く掴んでねぇぞ!
……チッ、コーヒーショップ入るぞ。ついでに冷やしとけ。


(爆豪の言葉に視線を落とすと、彼に掴まれている手首がくっきりと赤くなっていた)
(爆豪に掴まれたから出来た痕だろうか?)

(手の形に残っているので掴まれた痕なのだろうが、なんだかそれは爆豪の手より大きく見えた)


ハロウィン2018ED3