名前:世名

迷い込み24度目の夜

また来るね



(どうしよう……完全に迷っちゃった……!)


〈いつも通りこちらの世界へ来て世名の家へと向かう途中、背中に不思議な模様のある可愛らしい黒猫が目の前を通り過ぎていった〉

〈──その背中の模様が目に入った瞬間、なぜか
「あの猫を追いかけなければ」と思った〉

〈猫の後ろ姿に引き寄せられるように路地裏へと入っていき、夢中でその姿を追いかける〉



〈──そうしているうちに、いつの間にか目の前には見知らぬ街の景色が広がっていて、あろうことか猫の姿も見失ってしまっていた〉

〈迷子になったことを自覚した途端、段々と我に返る〉


〈冷静になるにつれてなぜ周りも見ずに追いかけてしまったんだろうという後悔と、心細さが一気に襲いかかってきて、路地裏で1人途方に暮れかけた時だった〉



「──……おい」



〈後ろから突然誰かに声をかけられた〉

〈思わずびくりと肩を震わせ振り返ると、そこには──……



magic hour