──…………
(月明かりに照らされた部屋で、世名はベッドに横たわっている)

…………
……世名、様。
一通り終えましたので、私はこれで──

ねえ。
「──は、」何か話してよ。
どうせ持ってきてるでしょ?

…………よろしいのですか?

なにが?

……いえ、その……

──あぁ、あんたの選ぶ話の趣味が悪いことなんてもう慣れたよ。
……その話をどっから持ってきてるのかも、もう聞かない。
いいから聞かせて。眠れないんだ、最近。

──かしこまりました……では……仰せのままに。
(そう言って銀髪の彼は鞄から1冊の古びた本を取りだした)
《RA》