(世名に話しかけると、不意に玄関のドアノッカーの音が響いた)
……あれ、なんか届いた?
ちょっと待ってて
(玄関へ向かった世名がドアを開けると、そこに居たのは見知った人物だったようで談笑する声が聞こえた)
……おー、おつかれ
今日は「こっち」なんだね

──どうも、世名
おかげさまで。
お届けものです、いつものあの子からだよ

まじ?また新作かな

ワレモノだからそうかもね。
じゃあ、また来るよ

ん、さんきゅ
(──話し終わったみたいだ。世名がなにやら小包を抱えてドアを閉めるのを後ろから見守っていたその瞬間)

(ドアの隙間から立ち去り際にこちらを見据えた彼と、目が合った気がした)
《RA》