(やっぱり心配なので、警察を呼ぼうとスマホを取り出すも、金髪に取り上げられた。)

金髪 おい、もし呼んだら、わかるよなぁ?
お、そうだ、この女の子にもみせてやろーぜw
サンドバックの正しい使い方をwww


細目男 いいね、じゃ、いこっか。

(有無を言わさず強引に肩を抱かれ、路地裏へ連れていかれる。)




金髪 おらぁ!!

細目男 あっち向いて...ほいっッ!!

モブ おらおらおらおら!!!

真人 うっ...

(集団でリンチされている、こんなのあんまりだ)

(助けを求めようにも、人はいない)


金髪 おい、声上げんなよ。さもねーと、女の子犯すぞ。


真人 ...っ



(痛いだろうに、苦しいだろうに、こちらを気遣って我慢している。)


(1分1秒が長く感じる、助けたいのに、後ろから男に抱き締められて身動きができない。)


(自分の無力さを痛感した。)



細目男 おい、もうギブアップ?まだだよ、がーんばれッ


真人 っぐッ

モブ 顔だけが取り柄の屑がっ!俺の彼女とりやがったこと、謝れよ!!

モブ 脱げ!脱いで土下座しろww



真人 はぁ、もう、やめてください。なんでもしますから、お願いします...




金髪 なんだ、しおらしいじゃねーかww守るもんができたからか??! ざーんねん、この女の子は、今日から俺のもんで~す♡お前も、お家に帰ってもらいまーす。今からお前の親父呼ぶわwwきっと喜んでとんでくるんじゃねwwww


真人...。




警察「お前ら!!何やっている!!」


(警察が数人、突如あらわれた)
(プラス、こちらに向かってスマホをむける男性もいる。)


スマホ男 は~い、警察到着しました~。お、職場特定?!はえーな、あざす!!スパチャありがと~。いや~、怖かった~、て、おい、ちょっ、待っ

警察 撮るな!


(いったい何が起こっているのだろう、金髪男たちは取り押さえられ、真人は警察に保護された)



金髪 ち、ちげーっすよ!!そいつらが、俺らの財布盗もうとしてたんすよ!居酒屋で!!んで、詰めよったらその男が殴ってきて!!仕方なく、仕方なく自己防衛で!!


スマホ男 一部始終ライブ配信してたんで。証拠はありますけど。w

警察 とりあえず、署まで同行してもらいます。


細目男 くっそ、最初から、あーもう、性格悪っ

モブ 俺は殴ってないですから!!怖くてみてただけです!!


真人 はは、相変わらず自己保身の塊の集合体だな。


モブ 調子乗んな、おい!!


真人 彼女をとられたって言ってたっけ?あれ、俺からは何もしてないよ?彼女たちが勝手に俺を求めただけだ。顔も性格も終わってるお前じゃ、満足できなかったみたいだね。

モブ 調子のんのもいい加減にしろ...!!



警察 署まで同行しろ。




(体を引きずりながら、真人がこちらへ向かってきた)

(すぐかけより、支える)


真人 ごめんね、怖い思いさせちゃって。怪我はない?気持ち悪い男どもに触られてつらかったでしょう。お腹減ってない?帰ったら君の好きなご飯作ってあげる。いつもみたいに、一緒に、テレビみながら、ごはん...

(全体重がこちらにふりかかり、地面に強く押し倒される。耳元で微かに呼吸していることがわかるが、無理をしていたのだろう、気を失っている。)


(すぐに救急車を呼んだ。病院の人には、真人が無戸籍で親族とは縁がきれている旨伝えると、処置後、すぐに福祉に繋いでくれた)


(そんなこんなで、真人は全治1ヶ月の入院をすることになった)





(次の日、真人が目を覚ました。)


(運良く空いていた個室で、朝食をちまちまと食べている)


(こちらをみた瞬間、安心したような、泣きそうな表情になった)


真人 心配かけちゃって、本当にごめん...
   本当は、穏便に解決したかったんだけど、糞野郎どもが君に触れるのをみて、我慢できなくなって...運良くいたライブ配信者に声かけて、隠れて撮ってもらった。君の顔は隠すように言ったから大丈夫。...俺のせいで、怖い思いさせちゃって、本当に、ごめん...



(うつむき、とてもつらそうな顔をしている。自分も、勝手に家を出ていったことを謝る。)


真人 本当に心配したんだからね、......あいつらと再会して、最悪な記憶が甦ってきたよ。あの時は、死にたくて死にたくてたまらなかった。でも、君とであってから、...死にたくない、生きたい、って思えた。今でも、ずっと。だから、...俺のこと、捨てないで......


(ポロポロと涙をこぼし、捨て犬のような目でこちらにすがる。一見頭が良く、何事も難なくこなし、辛いことがあってもスルースキルが高い真人だが、その心の奥には孤独、脆く傷つきやすい繊細な感情を抱えている。強がっていたが、やはり怖かったのだろう。たまらず強く抱き締める。真人も強く抱き締め返してきた。)


真人 あいつらに、毎日、暴力を受けてた。朝一番、俺の部屋に来て、冷たい水をかけられて、殴られて。たばこで根性焼きもされた。職場でも、群れることでしか強がれないやつらも、俺を殴って、仕事を押し付けて、...やっとの思いで帰ったら、糞女が押し掛けて来る、酔って糞野郎どもが電話かけてくる、電話にでなかったら直接部屋に入ってくる、...地獄だった。反撃しようものなら、その倍で、集団で襲ってくる。...なんで俺だけ、こんな気持ちにならなければならない、どうして、なんで、っていう気持ちが巡りめぐって、最終的には、どうでもよくなった。...もうあんなところ、もどりたくない。お願い、君は、俺のことずっと好きでいて、ずっと一緒にいて、俺のこと捨てないで。君だけなんだ、俺には。お願い、おねがい...



(子どものように泣き、辛い気持ちを打ち明けてくれた。真人が落ち着くまで、ききつづけた。)


(1ヶ月間、可能な限り面会に行き、真人も回復していった。)


(退院時には、患者、看護師からの大量のラブレターー、連絡先の用紙が渡されていた。帰りに寄ったスーパーで容赦なく捨てていたが...)




(帰って一息つこうとした瞬間、後ろから抱き締められる)


真人 結婚しよう。入院中、無戸籍の支援団体の人が、婚姻届、提出できるようにできるって。結婚しよう。今すぐにでも、提出しにいこう。



(退院直後のため、ゆっくりしてからではどうか、と提案するも、首を横にふられる)


真人 もう君と離れたくない。君と離れないためできることがあるなら、それは結婚することだ。俺は、君を一生離す気はないから。離婚なんて絶対にしない。君が離れたくなっても、結婚してれば他のところに行かないでしょう?お願い。サインして。



(婚姻届を渡された。真人の欄すでに埋まっている。)


(親の挨拶などはまだすんでいないのに、気が早いと話すも、納得しない様子だ)


真人 君は、俺と結婚したくないの?頑なに拒否するよね、入院中、俺の話を聞いてくれた。俺の気持ちも、充分知ってくれているはずだ。支援団体の人から紹介されて、まともな仕事にもつけられる。やっぱり俺じゃ頼りないから?...だったら、頼られるように努力する。君の要望には必ず答えられるようにする。それじゃだめかな?



(どう答えよう)



名前:真人

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話した言葉:警察を呼ぶ