……ん…。

(目が覚めたアキ。一応目覚ましをかけたが3分前に起きてしまったらしい。
ゆっくりと体を起こして、まだぼんやりとした頭で考える。

またいつもの夢だ。家族が…弟が死んだときの夢を10年以上経った今でもたまに見る。
そういう日は目が覚めても頭痛がしたり、しばらく憂鬱な状態が続く。

でも今日はそれほど嫌な気分になっていない。何故だろう。)

…?

(アラームを止めてから気づいた。
○○だ。自分の部下が同じベッドで寝ている。
一人で寝ろって言ったのに…いつのまに入ってきたんだ、こいつ。
呆れてため息のひとつでも出るかと思ったが不思議と腹は立たなかった。

すやすやと眠るあどけない顔を見ていたら、えも言われぬ感情が込み上げてくる。
無性に彼女に触れたくなったので顔にかかる髪を撫でるように払った。○○はアキの手に反応して、一瞬だけ瞼が震えたが目は覚まさなかった。



今日も仕事だ。朝の支度をして、こいつに食わせる朝メシの準備をしよう。
昨晩、夕食のデザートに出したフルーツがまた食卓に並んでいればきっと喜ぶはずだ。

○○の体に毛布をかけて、アキは物音を立てず静かに部屋から出て行った。)
布団に潜り込んで1