(…なんか情けねえな、俺。
先輩のこと理解してるつもりでいて、全然理解してなかった。
10年以上も前からこの人を知ってるからって、どこかで胡座かいてたんだ。バカみてえに。

彼女の本当の優しさや温かさってのが何なのか、全然解っていなかった。いや、それどころか…。

……面白くなかったんだ。
無意識のうちに嫉妬していた。○○さんに馴れ馴れしく甘えるアイツらにも、部下たち全員に優しく接する○○さんにも、全部にイラついてた。

俺だけを見ていて欲しいって。
その手に触れられるのは俺だけであって欲しいって。
他の奴らなんてどうでもいいだろ。あんたがいなくてもアイツらは何とかなる。だから俺だけの先輩でいて、俺の名前だけを呼んでくれ。

心のどこかでそう思っていた。
だからきっとあんな言葉が出たんだ。「俺の方から注意しますよ」なんて発言が。
誰にでも分け隔てなく接する彼女だから惹かれたのに、誰よりも俺だけを特別扱いしてほしい…だなんて。

……俺は、どこまで偉いんだよ。何様のつもりだ。



どうか…俺の気持ちが○○さんに伝わりませんように。

こんな汚くて醜い感情、彼女には絶対に知られたくない。嫌われたくない。
全部、墓場まで持っていくから、だから…

いつか訪れる最後のときまで「先輩のことを心配する可愛い後輩」のままでいさせてくれ。)
そろそろ時間ね1