(先輩が私の中に入ってきて、どれくらいの時間が経っただろうか。
1時間?2時間?それとも3時間?
目を開けているのか閉じているのか、どこを見ているのかすらも分からない。
ただひたすら、先輩から与えられる暴力的な快感を受け止めていた。

「ぁあっ♡ぅああっ♡ふ、ああぁんっ♡」

あまりの気持ちよさに半開きの口から涎が溢れる。
寝バックの体勢でぬこぬこ突かれるのが堪らない。目が霞んで涙まで出る。

……今の彼氏はここまで気持ちよくさせてくれなかった。
隠れて連絡を取り合っていた彼氏。
先輩の目を盗んでこっそりデートして、こっそりホテル行って、こっそりセックスした。
お互い初めてじゃないから上手くいくだろうと思っていたけど……ダメだった。

彼のことは、好きだ。外見は正直それほど好みではないけど……でも束縛癖は無いし、明るくて穏やかで表情がコロコロ変わるから一緒にいて楽しい。タバコも吸わないし、ちょんまげみたいな変な髪型でもない。
ちょっと頼りない感じがあるけど、そんなところも含めて彼の魅力だと思っていた。
何から何まで先輩と正反対の人。
この人となら、私は幸せになれるかもしれない。そう信じていた。

アレの大きさは先輩のと大して変わらないと思う。でも他は全然違う。
彼はとても優しく抱いてくれた。前戯も丁寧にしてくれて、何かするごとに「痛くない?」「大丈夫?」と、こちらを気遣ってくれた。
私は大丈夫だよと笑ったけど、その笑顔はたぶん引き攣っていただろう。

中を解してくれるときは爪が変なところに引っかかって痛い。
クリを触られたら強弱のつけ方が極端で全然気持ち良くない。
挿入の段階になっても自分のあそこはカラカラに乾いたままで少しも濡れていなかったので、仕方なくローションを使った。

そして挿入されてからも、全く感じることは出来なかった。
イイと思うところを掠めても次の瞬間には別の場所を突かれて気持ちが萎える。
私の反応があまり良くないことを気にして大きく揺さぶってくるけど……ただ激しくすればいいってもんじゃないのに。
結局、絶頂に達したのは彼だけ。私はイッたふりをした。
嘘の笑顔を貼りつけて「気持ち良かったよ」と思ってもいない台詞を吐く。

正直、しんどかった。

私は不完全燃焼で中途半端に火照った体のまま帰宅した。
家に着き、煙草を吸っていた先輩に「おかえり」と声をかけられて自分の体の異変に気づく。
先輩の顔を見て声を聞いた瞬間、子宮がキュンと疼いたのだ。

自分が嫌になった。これでは淫乱ではないか。
大好きな彼といるときは全然濡れなかったのに、どうして……。

私の暗い顔に気づいた先輩は「どうした?」と言って頭を撫でてくれた。
広い胸に顔を寄せると、ふわりと煙草の香りが漂ってくる。その匂いでまた濡れた。

その日の夜、先輩に抱かれて、私は罪悪感でいっぱいになりながら何回もイッた。

……彼のことは好きだ。
唯一の不満は、体の相性が合わないこと。
ただそれだけ。)


あっ、ぁ…!ひ、ぅう…っんん…!