どこへ行っていた?
(鍵を開ける前に、急にドアが開いた。
中から手が伸びてきて、引きずりこまれるように室内へ入れられる。
私が部屋に入ったと同時に勢いよくドアが閉められ、鍵とチェーンをかけられる。
突然のことで一瞬何が起きたのか分からなかったが、目の前で私を見つめる無表情の先輩を見てやっと気づいた。
どうして忘れていたのだろう。
この人は私の部屋の合鍵を持っていたんだ。)
どこへ行っていた?
(せ、せんぱい…ごめんなさい、私…。)
どこへ行っていた?
(……あ、あの、)
どこへ行っていた?
(壊れたレコードのように同じ言葉を繰り返す先輩。
目は瞳孔が開いて、私の手首をドアに押しつけるその力は骨が折れそうなほどに強い。
目の前の男の恐ろしさに自然と涙が溢れ出た。)
…っ、女友達と飲みに行ってたんです!一晩中ずっと、居酒屋とかカラオケとか、その子の家で宅飲みしてました…!