(薄く開いた唇の隙間からぬるりとした熱いものが入ってくる。先輩の舌が蛇のように私の舌を絡めとり、水音を立てながら動き回る。
角度を変えながら舌を吸い、上顎や歯列をなぞられて、くすぐったさに声が漏れてしまう。
…
先輩がキス魔だって知ったのは、つい最近のことだ。
家だけじゃなく、外でも誰も見ていないところで事あるごとにキスをしてきた(頬とかおでことか首筋とか)。
でも煙草を吸った直後には絶対にしてこないから、大切にされている感じがして何だか嬉しくなる。
…
キスの最中目を閉じる人じゃなかったから、私が目を瞑っていても「今じっと見られてるんだろうな」って考えると恥ずかしさで顔に熱が溜まっていく。
現在夜の10時ちょっと前。シャワーを浴びた。電気もさっき消された。きっとこれから服を脱がされる。いつものパターンだ。
…でも明日、朝早いのに大丈夫かな。いつも仕事の前の日は一回で終わらせてくれるけど。
明日新幹線の中で食べる駅弁選ぶの楽しみだなぁ。出張なんて久しぶり。
仕事とは言え、先輩とホテルに泊まれるし。
今度計画立てて休みの日にちゃんとした旅行行きたいな。温泉入って先輩と美味しいもの食べて観光して……、)

何考えてる?
(唇を離し、急に声をかけられたから驚いて目を開ける。)
今は俺に集中しろよ。
余計なこと考えるんじゃねえ。
いいな?
す、すみません…(何でバレたんだろ…)何で分かったんですか?余計なこと考えてるって…先輩とデートしたいなあって考えてました先輩にコスプレさせたいなって思ってました!