部屋の奥では黒髪の男が座り込んでいた。

「お前…誰だ?」

その男はこちらに気づいてゆっくり振り向くと、言葉も発さずにただニコリと微笑んだ。
こんな事はインプットされていない。
カプセルに余計な物質が混ざったのだろうか。

とにかく白は次に患者に呼ばれた時、この薬がジャンク(失敗作)である事と、これは廃棄して別のシリーズを服用する事を伝えようと思った。
いつの間に入ったのか分からないが、念の為こいつも連れ帰る。

「お前も一緒に出ろ。どうやらこのシリーズはジャンクらしい」

くそ、来たばかりで何の功績も残せず出る事になるのかよ。
そう思いながら帰る準備をしていると

「ジャンクじゃないよ。」

男は立ち上がり、コツコツと固い靴音を響かせながらこちらに歩いてきた。

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