なんだ、それは。
それ、と向けられた指先に手を置く。
人のものではない肌触りのする耳を触れて、悲鳴を上げなかったのをどうか褒めて欲しい。
作り物ではないのか。
(動物が苦手なら無理をしない方が……)
触った感じでは偽物ではないようだな。
一足先に鴉を蝶屋敷へ向かわせておいたが、そこまで人目が気になるだろう。
これを被って……おい。
(……に、にゃあ)
羽織にじゃれつき始めた〇〇に声を掛けると目を見張りながらひと鳴き。
義勇の手で羽織を被らせながら〇〇はすみません……にゃあ。といつになく沈んだ声で謝罪を入れた。
「.......に、にゃあ」